車の心臓部とも言える"エンジンの始動・停止"について正確な知識を持つことは必須です。
特にマニュアル車においては、この基本操作が運転の安全性や快適性、さらには車の寿命に直結します。
ここでは、以下のことについて初心者でも理解できるように解説します。
- マニュアル車のエンジンのかけ方と切り方の基本手順
- マニュアル車とオートマ車の違い
- 適切なエンジン操作がなぜ重要なのか
一緒に、マニュアル車の運転をより楽しむための第一歩を踏み出しましょう。
マニュアル車のエンジンのかけ方の基本と手順
まずはエンジンをかけてみましょう。事前知識とあわせて方法を紹介します。
「クラッチ」と「ブレーキ」それぞれの役割と位置
まずは、マニュアル車の運転において最も重要なペダルであるクラッチとブレーキの位置とその役割について理解しましょう。
- クラッチ(左側のペダル)
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エンジンとトランスミッションを繋げる役割があります
- ブレーキ(中央のペダル)
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車の速度を落としたり、止まったままにしておく役割があります
- アクセル(右側のペダル)
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発進・加速のためにペダルですが、エンジンをかけたり切ったりする時には基本的に使いません。
また、駐車時に車を動かないようにするサイドブレーキについても確認しましょう。マニュアル車の場合は、左手の位置のレバーがそれに当たります。
エンジンをかける前の重要な確認事項
エンジンをかける前に、次のことを確認しましょう。
エンジンをかける前の確認事項
- サイドブレーキがかかっている(引いた状態)ことを確認します
- 運転席に座ったらシートベルトを締めることを忘れないでください
- シートの位置を調整する
- ミラーの位置を調整する
正しく安全な運転をするために、適切なドライビングポジションになっていることを確認します。
エンジンのかけ方の手順をステップバイステップで解説
エンジンをかける手順は以下の通りです。
エンジンをかける手順
- ブレーキペダルとクラッチペダルを完全に踏み込みます
- ギアをニュートラルにします
- キーを回して(エンジン始動ボタンをおして)エンジンを始動します。
マニュアル車はクラッチを踏まないとエンジンが始動しない「クラッチスタートシステム」が採用されています
古いマニュアル車にはありません(採用されたのが平成11年以降)。
クラッチを踏まないとエンジンがかからないようにしている理由
- クラッチが繋がりギアが入ったままエンジンをかけると車が動いて危険
- クラッチを踏んでいる=人が乗っている
暴走事故などを起こさないようにする仕組みです。
ただ、踏切内で立ち往生した際に、エンジンのセルモーターの力で車を動かして脱出するということもあったみたいですが、今の車ではそれができません。
また、年配の方が久しぶりにマニュアル車に乗った際にクラッチスタートシステムを知らず、車が壊れていると勘違いすることもあるようです。
エンジンがかからないときの対処法は?
エンジンが始動しない場合、いくつかの原因が考えられます。
- バッテリーが弱っている
- 燃料が足りない
- 点火プラグに問題がある など
また、長距離走行や高速道路を走った直後にエンジンがかかりにくい時は、アクセルペダルを少し踏み込んだ状態(1/5程度)でエンジンを始動し、エンジンがかかったら、アクセルペダルをエンジン回転数の上昇に合わせて戻します。
これらの問題がないかをチェックし、必要であれば整備工場のプロのメカニックに相談しましょう。
- 発進時はギアが先?クラッチが先??
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教習所の教科書を基本とすると、
- ギアをロー(1速)に入れる
- サイドブレーキを下ろす
逆でも運転に支障はありませんが、より安全に配慮するならこちらの順番です。
マニュアル車のエンジンの切り方の基本と手順
エンジンをかけたら次はエンジンを止める方法です。当たり前のように行っていますが、安全に駐車しておくために、重要な要素だと思います。
エンジンを切る前の重要な確認事項
エンジンを切る前の確認事項は次の通りです。
エンジンを切る前の確認事項
- 車が完全に停止していることを確認する
- ギアがニュートラル(N)になっていることを確認する。入っていなければNに入れる
- サイドブレーキがきちんと引かれていることを確認する
きちんとできていないと、停車時に車が動く可能性があります。
エンジンの切り方の手順
エンジンを切る手順は以下の通りです。
エンジンの切り方の手順
- フットブレーキを踏みながらクラッチペダルを完全に踏み込みます
- キーを反時計回りに回して(エンジン始動ボタンをおして)エンジンを停止します
- クラッチは踏んだまま、平地か下り坂であればギアを「R」に、上り坂であればギアを「1」に入れておきます
ギアはサイドブレーキの利きが悪いときに車を動かないようにします。なので、ギアは入れておくのが鉄則です。 また、雪国では積雪時にサイドブレーキが凍結で戻らなくなることがあるので、ギアだけ入れてサイドブレーキを引かないこともあります。しかしこれは特殊な状況だけです。
また、安全のために、停車するときは可能な限りエンジンを切るようにしましょう。
キーレスエントリーになっている最近の車は、エンジンをかけたまま外に出るとアラームが鳴るようになっています。
エンジンが切れないときの対処法は?
エンジンが停止しない場合、何らかの問題が発生している可能性があります。
そのような場合には、JAFや近くに整備工場のプロメカニックに相談することをおすすめします。
エンジンを切れないことで危険が伴う場合は、あえて無理やりエンストさせるのも手。その場合はサイドブレーキ、フットブレーキの両方が掛かっていることを確認し、ギアを入れてクラッチをつなげればエンジンが止まります。
無理やりな方法ですので、実施するのは緊急時に留めておいてください。
違いを知って理解を深めよう|マニュアル車とオートマ車のエンジン始動・停止の違い
マニュアル車(MT車)とオートマ車(AT車)では、エンジンの始動・停止に若干の差があります。その違いについて解説します。
オートマ車のエンジンのかけ方と切り方
オートマ車では、エンジンを始動するためにはブレーキペダルを踏みながら、キーを時計回りに回す(エンジン始動ボタンを押す)だけです。
エンジンを停止するときは、シフトレバーをパーキング(P)に移動させ、その後でキーを反時計回りに回します(エンジン始動ボタンを押す)。
停止させる際は必ずサイドブレーキは引いておいてください。
オートマ車の方が非常に簡単な操作になります。
マニュアル車とオートマ車の操作の主な違いと理由
マニュアル車とオートマ車では、エンジンの始動・停止の違いのポイントにはクラッチがあります。
マニュアル車では、エンジンを始動・停止するためにはクラッチペダルの操作が必要です。これは、マニュアル車がエンジンとトランスミッションをクラッチを介して直接繋がっているため、クラッチペダルを操作して切り離す必要があります。
一方でオートマ車は、エンジンとトランスミッションの間に自動的にクラッチの働きを行う「トルクコンバータ」が存在するため、クラッチペダルの操作は必要ありません。
マニュアル車にはクラッチ操作が必要であるゆえにやってはいけないことがいくつかあります。
エンジンの始動・停止が大切な理由
エンジンをかける、切るという動作を正しく行はなければいけない背景には、安全性の確保があります。
安全運転とエンジン操作の関連性
エンジンの正しい始動・停止手順を理解し、それを適切に実行できることは、安全運転の基礎となります。
特にマニュアル車では、エンジンの始動・停止時にクラッチペダルを適切に操作しないと勝手に車が動いたりエンストしたりする可能性があり、交通事故につながる可能性があります。
自分だけでなく、周りの安全にも配慮することが、車を運転する上で重要な事です。
エンジンの始動・停止と車の寿命
エンジンの正しい始動・停止方法を守ることは、車の長期的な維持にも寄与します。
エンジンは車の心臓部とも言える部分で、その始動・停止は車全体の性能や寿命に影響を与えます。
適切にエンジンを始動・停止することで、エンジンやトランスミッション、クラッチの過度な摩耗を防ぎ、車の寿命を延ばすことが可能です。
正しいエンジンの始動・停止の手順はマニュアル車の運転の第一歩
エンジンの適切な始動・停止手順を身につけることは、マニュアル車の運転スキル向上の第一歩です。この基本操作をマスターすることで、車の動作と自分の操作が直結していることを実感し、より深く車を理解することが可能となります。
これにより、シフトチェンジやブレーキング、コーナリングなど、より高度な運転技術の学習にもつながります。
そして、エンジンの始動・停止手順を身につけることは、マニュアル車の運転をより楽しむための初めの一歩でもあります。
適切なエンジン操作をマスターすることで、車と一体感を感じることができ、運転そのものがより楽しくなります。
また、これらの基本操作をしっかりと理解・実行できることは、今後の運転にも役立ちます。たとえマニュアル車に乗らなくとも!